今日は、フィンランドでのソロツアーのレパートリーになっていたレアめの曲をご紹介したいと思います。 この曲は、ソロ名義での2ndアルバム「Jäätyneitä lauluja」(1993)に収録されており、歌詞の中にはアルバムタイトルでもある「Jäätyneitä lauluja」(=凍りついた歌を)というフレーズが出てきます。 それでは、皆さま、良いお年をお迎えください。 Laboratorion lapset 研究室の子供たち
子供たちは 研究室の中で成長する 犬たちは ドラッグストアの中で吠える 人々は笑う 彼らが命じられるところで 子供たちは 研究室の中で遊ぶ 淡い色合い、ガラス、クロム 1日1錠が 僕を清潔に保つ la-la-la-la-la研究室には la-la-la-la-la モニターがある そこから僕らは見る どのように僕らが生きたらいいのかを もし 僕らが思い切って去るとしたら 研究室から 火葬場へ去るだけだ 研究室の子供たちは歌う 凍りついた歌を 研究室の子供たちは 冥界の高等学校の庭で 研究室の子供たちは歌う 凍りついた歌を 研究室の子供たちは 庭で(注1) 僕は無菌のパッケージ 殺菌された 僕は保存されている 乾燥した、涼しい場所で 冷凍されて 試験管の底で 僕は僕の夜を休む 僕は誰もを疑う 細菌のキャリアであると 僕らはサンプルを提供する 毎日 いつも 僕の尿から君はわかる、僕が誰か、何を考えているか 僕の血液は ガラスの器の中だけで沸騰する 僕の心臓は 時計のように打つ 注1;原詩では「pihalla」。「piha」は庭を意味し、「pihalla」は「途方に暮れて」の意の慣用句でもある。
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昨日は、Ismoの家族について書きましたが、今日は、Ismoの親類がゲスト参加した曲をご紹介したいと思います。
この曲は、2016年にリリースされた5曲入りEP「Pannaanko pakasteet pieneen pussiin?」に収録されており、ここでコーラスを担当しているIron Country Sistersは、Ismoの姪にあたる3姉妹(姉 Satu Alanko-Rautamaaの娘)によるルーツ・ミュージックに根差したグループです。 ちなみに、この「Pannaanko pakasteet pieneen pussiin?」(=冷凍食品を小さい袋にお入れしましょうか?)というフレーズは、日本でいえば、「おにぎり温めますか?」に相当するようなお店でよく聞くセリフだそうです。 こちらは、2016年のIlosaarirock(Ismoの故郷ヨエンスーにて開催される夏フェス)のステージで、IsmoとIron Country Sistersが共演したときの写真です。
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Aino ja Ali (pannaanko pakasteet pieneen pussiin?) アイノ(注1)とアリ(注2)(冷凍食品を小さい袋にお入れしましょうか?)
アリは駅で しがない仕事をしていた 彼には職業があったが 仕事がなかった アイノはレジで忙しかった コンビニ(注3)で せっせと微笑み 幾夜も起きていた 孤独が2人を食べた 氷のような孤独 彼らの孤独よりも内気 どちらも特別 冷凍食品を小さい袋にお入れしましょうか? アイノはアリに尋ねた 微笑みながら アリはうなずいて示した 答えを コンビニのレジで 愛を そこに 火花が散った 2人の間に アリは やきもきしながら待った 店の前で せわしさは猛烈だった 店の奥で アイノは 化粧した 目をうるませながら 孤独は 誰かの家である より多くの人にとっては そうではない 孤独は あなたと戦争をする 多くの人から 理性を持っていった 冷凍食品を小さい袋にお入れしましょうか? アイノはアリに尋ねた 微笑みながら アリはうなずいて示した 答えを コンビニのレジで 愛を 冷凍食品を小さい袋にお入れしましょうか? 冷凍食品を小さい袋にお入れしましょうか? 冷凍食品を小さい袋にお入れしましょうか? コンビニのレジで 愛を 注1;フィンランドの民族叙事詩「カレワラ」の登場人物にも出てくる女性名で、伝統的なフィンランド文化を象徴するキャラクター。 注2;アラブ諸国に多い男性名で、移民であることを示唆している。異文化を象徴するキャラクター。 注3;原詩では「kulmakauppa」(=corner shop)で街角の小さな商店をさす。
今日はIsmoの家族についてのお話です。
Ismoは、銀行の最高責任者も務めた父と教育カウンセラーであり、詩の朗読も行なっていた母の間に、4人兄弟の2番目長男として生まれました。 父は合唱団のテノール歌手としても活動するなど、音楽好きの家庭で育ち、姉のSatu Alanko-Rautamaaはバイオリン奏者、1人目の弟のPetri Alankoはフルート奏者、9歳離れた末弟のIlkka Alankoは人気ロックバンド Neljä Ruusuaのフロントマンであり、兄弟全員が音楽家になっています。最終的にIsmoとIlkkaはロック系の道に進みましたが、Ismoはチェロ、Ilkkaはホルンもやっていました。 また、幼少時から母の詩を聞いて育ったことが、Ismoの詩の才能に影響しているようです。 ちなみに政治家のOuti Alanko-Kahiluotoは、Ismoのいとこにあたります。 フィンランドでは、IsmoとIlkkaはしばしば混同されることがあり、ときには本人同士も互いに入れ替わって楽しんだりしています。 これは、2013年にIsmoの活動歴3分の1世紀を祝うツアーで、ゲストのIlkkaがIsmoの衣装を着て、「Taiteilijaelämää」を歌っているところです。 このライヴ映像の初めでは、IsmoとIlkkaの共演を見ることができます。これは、Jaakko Teppoの曲です。IsmoとIlkkaは、Sössölandian Kultakurkutという趣味的ユニットもやっており、そこでもJaakko Teppoなどをカヴァーしています。
Sössölandian Kultakurkutについての過去記事はこちら
また、IsmoとIlkkaは、Neljä baritoniaというシングル1枚のみのスーパーグループでも共演しています。
Neljä baritoniaについての過去記事はこちら
この曲は、カナダのネイティブアメリカンの歌に基づいたフィンランドの伝統的な童謡のカバーであり、歌詞は変更されています。 Sielun Veljetの代表曲の1つです。 1985年にシングル「Toiset on luotuja kulkemaan」のB面カップリング曲としてリリースされ、Sielun Veljetの3rdフルアルバム「L’amourha」のCD版にも収録されています。 オリジナルの童謡はこのようなものです。 Sielun Veljetのライヴパフォーマンスは、非常にインパクトがあります。こちらは、1985年のライヴ映像です。 Kanoottilaulu カヌーの歌 俺は狭いカヌーを水面におろす 俺は今 さまようビーバーに続く ガイド付きツアーの案内人のおじさんたちは 針葉樹林の向こうへとどまる ポーランド人のカウボーイの女性も 俺を得ることはない 氷が少しガタガタ音を立てる カヌーのへさきへ でも 太陽が照り ガタガタいう音を取り去る ビーバーがさまよい、カヌーが続く 水が突進し そして歌が響く 俺は狭いカヌーを水面におろした 俺は今 さまようビーバーに続く 今日はクリスマスにちなんだIsmoの曲をもう1つご紹介したいと思います。 この曲は、「クリスマス盤」(Joululevy)の名のもとに、1999年11月22日にシングルとしてリリースされ、このようなクリスマス風のジャケットになっています。 しかしながら、その内容は一般的なクリスマスのイメージとは程遠く、フィンランド語の「vittu」とは英語の「fu*k」に相当するような罵り言葉です。 この曲は、フィンランドの公式シングルチャートで2位を記録し、アルバム未収録ながら、Ismoの代表曲の1つになっています。 世間がクリスマスムード一色に染まるこの季節に違和感を感じる人にとっては、ぴったりのクリスマスソングかもしれません。 Vittu kun vituttaa クソ キレるぜ 俺は泣いてた 赤ん坊だったとき ガキのころは ムカついてた それから 俺は若者になって キレはじめた 今じゃいつでもキレっぱなし 朝から晩までキレまくり マジギレだぜ クソ キレるぜ 前向きな考えを お前のケツへブチ込め お前らのヤバい集団から さっさと逃れるぜ 俺に治療を押し付けるな 俺の首すじへ もっとクソを浴びせろ マジギレだぜ 朝から晩までキレまくり キレるぜ、何もかもくだらねぇ クソ キレるぜ それは見ていてとても美しい ちゃんとキレてるときは 別の同じようなヤツに出会って そして クソ キレる 俺に並べ立てるな(注1) きれいな言葉を ちくしょう 与えに来るな いっさいのクソサポートを ほっとけ、坊やがキレてるときは ほっとけ 朝から晩まで とことんムカつかなきゃいけない キレてるときは 注1;原詩に出てくる「loihe」という語は、「luoda」(=create)に由来し、過去形の「loi」に東部の方言の「-he」という語尾がついたもの。 今日は、Hassisen Koneのちょっと異色なクリスマスソングをご紹介したいと思います。 この曲は、1981年にシングルとしてリリースされ、フィンランドの公式シングルチャートで3位を獲得しました。 Hassisen Koneの2nd アルバム「Rumat sävelet」の再発リマスターCDのボーナストラックとしても聴けるほか、ベスト盤「Tarjolla tänään: Hassisen kone」(2000)にも収録されています。 オルガンを用いた厳かなムードの曲調とは対照的な風刺に富んだ詩は、Ismoならではです。人間を冷静に見つめる鋭い視点と平和への願いの背景には、Ismoの大きな愛が感じられます。 Hyvää joulua!(メリークリスマス!) こちらは、テレビ番組での2001年のライヴ映像です。 On jouluyö, nyt laulaa saa クリスマスの夜だ、さあ歌うがよい 彼のお方は我々に生をお与えになられた それを理解することはできない 彼のお方の息子が世界へ踏み入り 審判のトロンボーンが響いた 楽園もまたお与えになられた しかし 太鼓がとどろいた 少年が道を指し示したとき 我々の父の息子に気づいただけだった 彼を崇拝し 道を忘れた クリスマスの夜だ 栄光を 主と母なる大地に クリスマスの夜だ 栄光を 救世主にあれ クリスマスの夜に 真っ白な雪片が 静かに舞う、星が輝く あなたは主に感謝する 嘘があなたの耳からしたたる プラスチックの神聖が 地獄の炎の中へ溶ける 脂ぎった祈りは白い それは心を持ってゆく クリスマスの夜だ 栄光を 主と母なる大地に クリスマスの夜だ 栄光を 救世主にあれ クリスマスツリー(注1)の美しいキャンドルが 静かにきらめく 子どものイエスの顔が投げかける 明るい光を 大砲が死を吐き出す ナパームのにおいが残る クリスマスの子の名のもとに 少佐の指令がこだまするとき クリスマスの夜だ さあ歌うがよい クリスマスの夜だ 栄光を 主と母なる大地に クリスマスの夜だ 栄光を 救世主にあれ 注1:原詩では「kuusi」(=トウヒ) 今日はもう1曲、Ismo Alanko Säätiöの2ndスタジオアルバム「Sisäinen solarium」(2000)の中から取り上げてみたいと思います。 Ismoの信仰に対する考え、世界観、人生観などが凝縮された、とても美しく深い響きを持った曲です。 Ehkäpä elämä onkin vain sitä miltä tuntuu たぶん人生はどう感じるかだけのもの
私はあるとき 天の本からあなたの肖像を見た あなたは静かに、微笑んでいた 私は長い間 金の糸で縫い込まれた肖像を見つめた あなたは静かに、微笑んでいた すさまじい爆発が 地上のくたびれた平和を破壊したとき あなたは静かに、微笑んでいた たぶん人生はどう感じるかだけのもの あなたの目の奥深くで ダイヤモンドが不実に輝き 美しさの瞬間に 消え失せる たぶん人生はどう感じるかだけのもの 私はあまりに長い間歌った 皆へあなたの最も美しい讃美歌を あなたは静かに、立ち去った 岸がずたずたに爆発したとき、あなたの最も美しい讃美歌を あなたは静かに、立ち去った 私は再び 天の本からあなたの肖像を見た あなたは静かに、立ち去った たぶん人生はどう感じるかだけのもの 疲れた現実がゆっくりと 私たちの傍らを足を引きずって通り過ぎ 美しさの夜明けに 消え失せる たぶん人生はどう感じるかだけのもの 本日も前回に引き続き、Ismo Alanko Säätiöの2ndスタジオアルバム「Sisäinen solarium」(2000)の中から、1曲取り上げてみたいと思います。 「Datsun」とは、日産自動車のブランド名であった「ダットサン」のことです。 この曲は、Ismoの故郷ヨエンスーでの青年時代がテーマになっているそうです。 Datsun ダットサン(注1)
古くて 傷んだダットサンが沈黙している ペナはため息をつきながら ベンチで寝ている 誰もがそれを見る 今夜 女は得られなかった 今夜 叩きのめされることもなかった 何が楽しませるのか 朝がもうすぐ中へドブンと落ちて、水をはねる 喉が渇いた唇が開き、まもなくバーが招く そこへ 俺たちはまた集まる 新しいものをねだり、古いものを笑いに また頭がイカれ、夢が待っている とどまり待っている バーは閉められ、夢が待っている 待っているべきだ はにかんだ微笑みが 顔に残っている 少年の断片が 少女へ分離する ほんの小さな断片が 少女の願いが 風の中で舞う 少年は畑の真ん中で 四つんばいで 神を探す 地面が足の下から消え、少年はよろめく 自分の墓の中へ 今すでに落ち、バーは閉められる その場所へ 新しいものが開かれる 一団はばらばらになり、魔法は消える 再び私たちは思い出され、夢が待っている とどまり待っている 時が運び、夢が待っている 待っているべきだ 注1;1960年代から1980年代初頭にかけて、フィンランドでは日産は「ダットサン」のブランド名で輸出されていた。時代の1つの象徴となっている。
今日は、昨日のブログでも触れたIsmo Alanko Säätiöの2ndスタジオアルバム「Sisäinen solarium」(2000)の中から、タイトル曲をご紹介したいと思います。
この曲は、シングルとしてもリリースされており、また複数のIsmoが登場するユニークなビデオもあります。 こちらは、今年の秋に行われたフィンランドでのソロツアーからのライヴ映像です。 Sisäinen solarium 内なるサンルーム 俺は暖かさが必要だ 与えてくれ、与えてくれ、与えてくれ 俺は接触が恋しい 与えてくれ、与えてくれ、与えてくれ もうひとりでやっていけない 助けてくれ、助けてくれ、助けてくれ 内なるサンルームは 消えてしまった 内なるサンルームは 光を運ばない ee-oo-ee-oo 君は聞こえるか 呼び声が ee-oo-ee-oo 俺の最後の呼び声が 再び蛍光灯が叫んでいる 変えてくれ、変えてくれ、変えてくれ 誤った季節だ 変えてくれ、変えてくれ、変えてくれ 若者の恋は白熱しない 変えてくれ、変えてくれ、変えてくれ 内なるサンルームは 消えてしまった 内なるサンルームは 光を運ばない 君は聞こえるか 呼び声が 俺の最後の呼び声が 今日は、2000年に行われたシアトリカルな実験的プロジェクト「Labra」についてご紹介したいと思います。 このプロジェクトは、音楽面はIsmo、ヴィジュアル面はデザイナー、彫刻家などとして多才に活躍するStefan Lindforsが担当しました。 「Labra」のために作られた曲をもとに、同年、Ismo Alanko Säätiöの2ndスタジオアルバム「Sisäinen solarium」がリリースされました。 このアルバムは、フィンランドの公式チャートで1位を獲得し、ゴールドディスクにも輝きました。 当時のIsmo Alanko Säätiöのメンバーは以下のとおりです。 Ismo Alanko – ボーカル、チェロ Jussi Kinnunen – ベース Samuli Laiho – ギターなど Teho Majamäki – ビブラホーン、マリンバなど Kimmo Pohjonen – アコーディオンなど Marko Timonen – ドラム、パーカッション Labraの映像です。 こちらはLabraのダイジェスト的なドキュメンタリーです。 |
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